「商標権」について学んだこと・感じたこと
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商標登録で、他社の開発能力だけでなく販売能力を奪ってしまう。
いや~、なかなか忙しくてが書けないわ~(>_<)
さ!続きを書いていこう。
前回、商標登録にはすごい力があることに気が付いた。
商標登録を行うと、後発企業は
①その名前で商品開発が出来なくなる。つまり開発能力を奪われる。
②その名前で販売が出来なくなる。直販だけでなく、販売店にすら卸せなくなる。つまり販路開拓能力を奪う。
①の部分は前回書いたから、今日は②について。
商標の類似群コードを勉強すると、
企業には「開発」と「営業(販売)」部分があり、この2つはセットだということに気が付く。
もっというと、企業というより製品は「開発」と「販売」で成り立っている。
よく考えればわかるが、開発したら売らなくちゃ意味がない。
この販売部門を商標登録によって権利を守ると、仮に開発ができてもその名前を使って販売が出来にくくなる。
理由は簡単だ。法律に触れるから。
前回の例でいうと、
味の素「アジシオ」は商標登録を申請→名前から味のついた塩を連想させる。
その後、「味・塩」に関する製品名が付けにくい期間(約30年)が存在した。
同時に「味・塩」に関する製品名は長期間小売店で取扱いしにくい状況を作った。
これに一石を投じたのが株式会社ダイショーの「味/塩こしょう」。
ダイショーは食塩ではないと主張し、商標を勝ち取った。
その結果、堂々と小売店で取扱してもらえるようになり販売力を拡大することができた。
上記のように、商標は契約した小売店・卸売店以外では製品の取扱いが出来にくくさせる効力を持つ。
このことが他社の開発を遅らせたり変更させたり、もしくは開発負担を大きくさせる。
そこで!!
第35類の「小売等役務」を活用すると販売に関しての権利が守れる。
開発できても登録された名前で販売できないので、他社の追随を許さないのである。
しかも、
類似群コードを上手く活用すれば「開発」と「販売」の権利両方を守ることが出来る。
第1類~第34類は「指定商品」は手で触れることのできる有形の開発部分にあたり、
第35類の「小売等役務」は販売部分にあたる。
製品によっては類似群コードが同じで区分が異なる「他類間類似」が存在する。
この「他類間類似」を活用することで、最低限の費用で「開発」と「販売」の権利を両方を可能にする。
その結果販売の権利を守れば、他社の開発を遅らせたり開発を出来にくい状況を作り出せるのです。
これが商標の力!!
他社の開発能力と販売能力と奪ってしまうのです。
すっげ~~!!
ここに気が付いたのにはあることがきっかけだった。
管理人は、あるものを開発しようと思って先ずは商標登録をチェックしてみた。
しかし調査の結果すでにある企業が登録していた・・・。
その企業は指定商品の区分だけでなく、第35類の小売等役務で5個も登録されていた。
「げっ!!35類の小売等役務が5個もある!!」(>_<)(管理人の声)
たしか35類の小売等役務は特殊だったわ。5個も登録されていたとなると費用は高くなっているはず。
そして類似群コードは「2つ以上」指定しているから役務範囲が広すぎる理由で商標使用の疑義が発生しているはず。疑義が発生した場合は、証拠書類を提出しなければならない。
つまりこの場合は証拠書類を提出していることを意味しており、販売面での商標を強化していることが分かる。
この経験から、この企業から並々ならぬ他社の開発や販売を認めない!!という強い意志と戦略性を感じた。
なかなか強力な壁だわ!!
でも、それほど「商標には大きな力がある!」と改めて感じた。
商品開発をするとすぐに特許を取った方が良いのでは?と思う。
誰でも特許で製品を守りたい。
だけど特許は難易度も高く、時間や費用がかかる。特許を取らない方が良い場合もある。
しかし、商標は一定範囲で自社開発製品と販売を守ることが出来ますよ~~。
何かの参考になれば、幸いです。(≧▽≦)
商標のマーク(標識)には沢山の種類がある。
商標には役務(サービス)とマーク(標識)があり、この2つの組み合わせで1つの権利となりその権利範囲が決められる。このマーク(標識)にも種類や複雑なルールが存在するのですが、管理人は弁理士ではないので詳しくは書けない。←書いてはいけない。
ということで、 一般的に知られている程度でどんなものがあるのかだけ勉強してみた。思った以上に沢山あった!!
著作権にも関わってくるから、画像を掲載出来ないのも残念。
①文字商標
②図形商標
③記号商標
④立体商標
⑤結合商標
⑥色彩商標
⑦音商標
⑧位置商標
⑨ホログラム商標
①の文字商標は、ひらがな、漢字、カタカナ、ローマ字、数字等によって表される商標です。
「SONY」「Panasonic」等をイメージすると分かりやすいと思う。
②の図形商標は、図形のみから構成されている商標で、文字商標をロゴとして図案化されたものは図形商標としてみなされることがあります。「トヨタ」「日産」「ホンダ」等の車のマークや「スターバックス」をイメージすると分かりやすい。企業はこのロゴ商標をとても重要視しており出願の時は完成された図案を提出していますが、実際は図案化に伴いとても細かい指定があります。管理人はカタログ制作等でお取引先さまからロゴを提供して頂くのですが、図案化された図形には線の太さの指定やCMYKの色の指定、空白のスペースの幅、他にも禁止事項が書いてあることもあります。その理由は商標には見えない社会的ブランドイメージが付随しておりルールを守らないと企業イメージが損なわれるからです。だから、カタログ制作のときは企業の拘りを感じるので、ちょっぴり取り扱いに緊張します。
③の記号商標は、のれん記号、文字を図案化しモノグラムかした記号や記号的紋章です。
グループ企業に多く使われています。例えば三菱のスリーダイヤや日本生命のロゴなど。名刺のロゴを見るだけでどのグループ会社なのか分かりますし、取引する上で信頼度が増します。
④の立体商標は、立体的な形状についても商品やサービスを識別する商標です。ちょっとわかりにくいけれど、ヤクルトの容器やお菓子の明治の「きのこの山」「たけのこの里」など。
確かに、形状をみればどのメーカーの商品なのかが分かります。
⑤の結合商標は、文字、図形、記号、立体的形状等が2つ以上組み合わせて校正された商標です。
「文字×文字」「図形×文字」「図形×図形」「文字×立体的形状」など。
「花王+月マーク」は分かりやすい例だけれど、どうやら花王は2021年度から月マークを無くしたようです。商標は時代に合わせて変化していくのですね。
つづく。
隠れたところに商標のマークがある。
実は商標は文字や図形以外にも存在する。
ということで前回の続きで、商標のマーク(標識)を書いていこう。
⑥の色彩商標は、「色彩のみからなる商標」のこと。
単色、または複数の色彩の組み合わせからなる商標であり、色だけで企業やブランドが分かってしまう。
色彩商標は検索するとセブンイレブンで分かりやすい例で紹介されています。セブンイレブンは「7」という文字がなくてもその配色からセブンイレブンの店や商品と無意識に分かってしまう。これって凄いことだよね!色のみで無意識に人の頭の中へ企業や商品情報を伝達してしまう強い力。
⑦の音商標は、メロディー、音声、自然音などからなる商標のことで、聴覚で認識される商標のこと。耳から人々にイメージを訴え、認知や購買力を高める力を持つ。例えば、コンビニに入る時の音とか、お風呂が沸き上がる音、CMで使われているものなど。。面白かったのが、CMで流れる「エバラ焼き肉のたれ♪」「ペットフードはドギーマン♪」や電子マネーの「ワオン♪」が登録されていました。2015年からスタートした比較的新しい商標タイプなので、今後更に申請が増加していくと思う。
⑧の位置商標は、定義は商標に係る標章(文字,図形,記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合に限る。)の位置が特定されている商標のこと。少し分かり難い商標。代表的なのはアパレルやジーンズのデザイン。ジーンズは後ろのポケットのデザインが有名です。あとは、カップヌードルのデザインやキッコーマンの醤油ボトルなどもあります。
⑨のホログラム商標は、字や図形等がホログラフィーその他の方法により変化する商標のこと。具体的には、カードやクレジットカードに使用されているホログラムのマークが有名です。カードの表面に施されたあのキラキラとする部分で、光の反射を活用し見る角度によって異なる文字等が見えます。偽造防止に使われやすい商標。
これらは日常生活で何となく感じてはいるものの意識しなければ気が付きにくい隠れた商標。無意識の中で認識されています。そして「これらも商標です!!」と言われれば納得できるものが数多く存在する。
商標とは気が付かないうちに潜在意識へ企業や商品情報を伝達し、感覚を通して刷り込まれていく。
あらためて凄い力だなぁと思いました。