「商標権」について学んだこと・感じたこと
CONTENTS
「ネーミング」は命を吹き込み、企業や製品を成長させる
管理人は、ある知的財産アドバイザーの方にご助言を頂き、会社名の商標登録を自分で行いました。屋号だけでなく製品名も登録を行いました。これらの経験で思ったことは、「商標」とは会社と製品を守るためのもの。
そして特許は難易度が高いけれど、商標申請は誰でも出来る。また商標は、企業や製品に命を吹き込む一つの方法と思っています。だから成長する。このことに気が付きました。
ここからは、実際に管理人がなぜ商標権が重要と感じたのか?を書きたいと思います。
管理人が感じた「商標権」の重要性とは?
①「ネーミング」行為そのものが製品を成長させるから。
② ネーミングされた製品は人々に愛着を与え、活力を与えるから。
③ ①と②の結果、製品に命が吹き込まれるから。
④ 製品名やロゴは、市場から守られるから。
⑤ 企業や製品の認知度を高め、一目で他社と区別できるから(ロゴ等)
⑥ 様々な面での信用力が増すから。
⑦ 企業や製品をブランド化させ、付加価値を高めるから。
⑧ 企業や製品が成長すれば、関わっている人々も切磋琢磨し成長するから
⑨ やむを得ず事業売却になっても、その価値はある程度守られるから。
①「ネーミング」行為そのものが製品を成長させるから。
よく考えればわかるかもしれないけど、ネーミングされていない製品は「形」として不十分。
人が誕生と同時に名前が与えられるのと同じで、これは製品にも同様のことが必要。ネーミングされることで、最初に開発した人に「形」としてまず残り、「無」から「有」へとその存在が変わる。
ある自動車メーカーは、開発はネーミングから始まるといいます。製品名が決まってようやく本格的な開発が進む。なるほど!!って思いました。またネーミングにより、ある程度の方向性や特徴、将来性が盛り込まれている。そして人の意識段階から存在させる。それが構想→設計→製品化へと成長に繋がると思います。
だから「ネーミング」行為そのものがとても重要なことなのです。
②ネーミングされた製品は人々に愛着を与え、活力を与えるから。
製品名が決まると、特に開発者は愛着が湧いてくる。開発に携わっているからこそ、余計気になってくる。特徴があれば、愛称で呼ぶようにもなってくる!(笑) そうなると、みんながなんとなく笑顔になり、やる気を出してきます。
③ ①と②の結果、製品に命が吹き込まれるから。
自分の大切にしているの趣味の車、ぬいぐるみ、植物等をイメージして頂けると分かりやすいと思いますが、大切なものは「人」と同じように大事に扱われると思います。そして、愛称で呼ばれた大切なものたちは、まるで意思があるように何か魅力が生まれてきます。← 存在をアピールしてきます。大笑!!
これが、製品に命が吹き込まれるという現象。
④ 製品名やロゴは、市場から守られるから。
ここからは、大切なこと。いち早くネーミングを行い、商標登録をすることをお勧めします。
HP上などに公開すると、市場関係者はきちんとした製品名で認識し、問い合わせでも製品名で呼ばれるようになります。そして「✕✕企業の〇〇製品って・・・」と認識され、噂が飛び交うようになります。またこの時、ロゴがあると
デザインとして印象強く、覚えてもらえやすくなります。
更に市場にない新製品は、いち早く情報が拡散され、一気に認知度が拡大する可能性が高いです。そうなると事実上その製品だけでも市場から守られることになります。類似品がすぐに出ますからね・・・。
長くなるから、続きは次回へ。
これも大切。商標の3大機能を知ろう!!
前回の続きを書く前に、
知財財産アドバイザーO様よりアドバイスを頂きました。(有難うございます!!)
商標には、「3大機能」があるということ。
ということで、
商標の3大機能とは?
※右の画像をクリックすると拡大します。
1、出所表示
2、品質保証
3、広告宣伝
参考ページ 中小企業経営者のための商標マニュアル
⑤企業や製品の認知度を高め、一目で他社と区別できるから(ロゴ等)
(※商標の3大機能・・・「出所表示」)
一目で他社と区別できるってとても重要なこと。例えば、「車」は多くの女性は分からない。←管理人も苦手。
しかし走行している素敵な車をみると、おぉ、この車カッコいいなぁ!!と思う。
その時、ほんの一瞬チラッとロゴやエンブレムを見る。そうすると、トヨタなのか、日産なのか、HONDAなのか、ダイハツなのか、ベンツなのか・・・。僅かな時間で瞬間的に判別できる。車種まで分かる。
なぜ分かるかというと、ロゴや製品名がちゃんとあるから。しかも車は、周知されている。これがメリット。
そうなると、頭の中は想像力でいっぱいになる。あの車で広大な海岸沿いを走行してみたいなぁ!と感じる。これってとても重要で、購買意欲に繋がります。
⑥様々な面での信用力が増すから
(※商標の3大機能・・・「品質保証」)
信用力は、実感が湧きにくいかもしれないけどショッピングをイメージすると分かりやすいと思う。特にネットショッピングでは、不良品や偽物も少なくない。その時、どこのメーカーが製造したものかは必ずチェックすると思う。
なぜかって、「安心」を買いたいから。購入してすぐ壊れたなんて、「安物買いの銭失い」になる。無駄なお金を使ってしまう。管理人は、ケーブル一本でも無名なところは購入しないです。その理由はケーブルからの出火は避けたいし、信用力やブランド力のある会社は必ず多くの実験や検査を行っている。その検査に合格した商品が販売されている。信用力というのは、そういう長年の積み重ねの結果だと思う。商標やロゴというのは、そういう目に見えない信用力を背負っているということに気が付きます。
⑦企業や製品をブランド化させ、付加価値を高めるから
(※商標の3大機能・・・「広告宣伝」)
企業名や製品名はその業界における自らの存在をPRするもの。広告宣伝により多くの人に印象付けられ、社会的に周知される。そして周知されることでその存在価値は認められ、同時に社会的役割も負っていくことになる。
例えば、「トヨタは新しいエンジンを開発し、未来の車を作ることに挑戦し社会を牽引している!」って多くの人が感じている。つまり社会的役割を負っていることを意味する。このことがブランド化に繋がり、付加価値を高める。だからこそファンが多くなり、価格に関係なく購入する人も多い。その結果、熾烈な価格競争に強くなる要因になり、高品質や信頼のイメージを作り上げることができる。
そのほか、今勉強中ですが、会社名(ロゴ)と製品名(ロゴ)ではブランディングするにあたり考え方や戦略が違うことも分かった。ここについては、すご~く難しいので追々書いていければと思います。
⑧ 企業や製品が成長すれば、関わっている人々も切磋琢磨し成長するから
①~⑦の結果、企業や製品が成長すると市場からの評価や信用力が高まります。そして、その価値を損なわないよう研究や開発はより進化し、関わってくる人は知恵を絞り切磋琢磨しながら技術を高めていきます。その努力は惜しみません。この過程を経験することで、企業や製品だけでなく関わってくる人も同時に成長していくのです。
⑨やむを得ず事業売却になっても、その価値はある程度守られるから
やむを得ず企業や事業が存続しなくなることも少なくない中、ネームバリューがある企業や製品名は別の企業に合併や譲渡されやすいです。またその価値は一定の評価を受け、その後も企業名や製品名が引き継がれることも少なくありません。この場合、資産価値として市場で大きな評価される場合もあります。例えばファッションブランドのルイ・ヴィトン、クリスチャン・ディオール、ティファニーは合併や買収され親会社のLVMHの傘下にありますが、その後もブランド名はそのまま継続されています。このように親しまれているブランドは、市場から簡単に存在が消えることはありません。
このように、「商標権」はとても重要性が高く、同時に将来の可能性があります。
こうやって整理し纏めてみると、ネーミングには多くの価値が含まれていることが分かりました!!
商標の権利範囲を知ろう!
商標権を勉強すると、「指定商品・指定役務(サービス)」という言葉が出てくる。
そして商標法では「類似商品・役務審査基準」の規定に基づき、商標の権利範囲を決めなくてはいけない。つまり出願登録する権利をどこまでにするかという問題。これが実に難しく、厄介だ!!ということに気が付いた。しかも「類似商品・役務審査基準」は最新版を常に確認しなければいけない。また専門家でもこの権利範囲を決めるのは難しく、判断や文言を間違えると「拒絶理由通知」になる可能性が高い。皆様もご存じの通り、商標の優先順位は出願した順番。出来る限り、申請による時間や費用負担は避けたいものです。
補足
商標は、他人の商標権に抵触しなければ 登録しなくても自由に使用できるということを知った。しかし実際は他人の商標権に抵触しているかどうかは調べてみなければ分からない。ゆえに一度調査する必要があると思う。また先に出願された商標との関係性に「類似商品・役務審査基準」が使用される。この審査基準は、類似性の有無の判断の1つとなっている。
とりあえず学んだことを書いていこうと思う。
指定商品・指定役務(サービス)とは?
すごく簡単に説明すると、手で触れるような有形の商品など。製造業の生産に関するものの多くは「指定商品」になります。逆に接客など形にできないサービスに関するものは「指定役務(サービス)」になります。
また「指定商品・指定役務」の区分は第45類まであり、第1類~第34類は「指定商品」、第35類~45類は「指定役務(サービス)」になります。
▶指定商品・・・第1類~第34類
手で触れたり、目で見たりできる、食品、機械などなど形のある有形の「商品」を主に指します。
例:清涼飲料、茶、コーヒー、
ガス湯沸かし器、電気アイロン、
プラスチック基礎製品、ゴム・・・
などなど。
▶指定役務(サービス)・・・ 第35類~第45類
形に出来ない広告業、小売業、宿泊業、運送業などの「サービス」を指します。
例:広告業、
食肉の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、
宿泊施設の提供、
鉄道による輸送・・・
などなど。
ということで、
これではピンとこないのでとりあえず練習問題01をやってみた。
是非、試してみてください。
興味ある方は、
練習問題01の答えを下記よりダウンロードして確認してみてください。(※代表的な一例です。)
実際に自分で調べてみると、なんとなく感覚が掴めてきます。
しかし、注意しなければいけないのが、必ず最新版の「指定商品・役務審査基準」で調べること。
最初は分からなかったので、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)で検索し、過去に実際登録されたものを見て書いてみた。しかし登録日が何十年も前のものを見てしまうと表現が古いという。そのためこの古い表現をそのまま参考にし出願すると、拒絶理由通知や補正指令に繋がる可能性があるという。だから最新版で掲載している文言で書かなくてはいけない。
このように、商標は保護するため権利範囲というものが存在しています。出願する際は、事業が商品なのかサービスなのかも明確に把握し、その上で区分を決めなければいけないということを学びました!!
小売等役務とは何だろう?
「指定商品」と「指定役務」の違いを何となく学ぶと、今度は「小売等役務」という言葉が出てきた。
??と思いながら、何となく小売業のことと容易に想像つきました。
どうやら、小売業や卸売業は少し別の知識として知っておかなければいけないことに気が付きました。
それはなぜか?
一言でいえば、小売業や卸売業は沢山の商品を取揃え販売しているが、商標を保護する権利範囲は取扱商品の「指定商品」ではなく「指定役務(サービス)」で登録しなければいけないから。
但し以前の商標法では取扱商品ごとに「指定商品」での登録の必要性があった。このことは何となく頭に入れておく必要がある。その取扱商品は多種類で商品分野の区分は幅広い。よって小売業や卸売業の企業にとっては商標は費用面でとても高額になった。更に商品に付けるタグ、値札や、チラシ、POP、買い物、レシート等のサービス部分の権利範囲を保護するものが無かった。そのため商標法が改正され平成19年「小売等役務」(第35類)が導入された。これにより小売業、卸売業の方々が使用するマークをサービスマーク(役務商標)として保護され権利を取得できるようになった。つまり「小売等役務」の導入により、小売業や卸売業は登録区分が第35類の「指定役務」の1つのみで済むようになり企業の負担が軽減された。
参考サイト → 小売等役務商標制度 (特許庁)
「小売等役務」に含まれるサービス活動は次のようなものが含まれる。(一例)
それでは、もうちょっと詳しく調べてみよう!!
まず「小売等役務」の区分は第35類になることが分かった。
具体的な指定役務はどんなものがあるだろうか・・・?
・被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供
・履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供
・かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供
・身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供
・飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供
・酒類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供
・食肉の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供
・野菜及び果実の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供
・菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供
・米穀類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供
・牛乳の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供
・清涼飲料及び果実飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供
・茶・コーヒー及びココアの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供
・加工食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供
・薬剤及び医療補助品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供
・化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供
・花及び木の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供
・運動具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供
などなど・・・。
おっと~~。こんなに沢山あるのですね!!
こりゃ~、上記で勉強したように指定商品で一つ一つ申請をしていくと区分が幅広く負担が高額になるのがよく分かります。
それでは、問題です。
メーカーが製造業と販売業(サービス業)の両方の事業で展開している場合はどう考えるのか?
「指定商品」で登録するべきか「指定役務」として登録するべきか・・・?
弊社の場合で考えてみよう!!
弊社は、自社開発製品と代理店販売という2つの事業があります。この場合3つの考え方があります。
弊社の場合:
パターン① 自社開発製品そのものに刻印する商標を強く守る → 第9類(指定商品)
パターン② 代理店販売という小売等役務の権利を利用し販売面で強化 → 第35類(指定役務)
パターン③ 自社開発製品と代理店販売の両方の権利を強化 → 第9類(指定商品)と第35類(指定役務)
弊社は、自社開発製品を権利範囲を特に保護したかったから①にしました。
ここでは企業の方針が反映されますし、考え方が色々あるのでどれも正解です。
面白いな~~!!(≧▽≦)
商標を勉強していくと、意外と違う角度で企業方針が見えてくることに気が付いた。商標の権利範囲を意識するということは、企業がどの事業でどの分野に力を注いでいるのかが見えてくる。
これは、ものづくりとは違った視点だわ!!
つづく。
ちょっとした表現の違いで区分が変わってくる!
前回と前々回で、何となく指定商品と指定役務が分かりかけてきたぞぉ。(*^▽^*)
ということで、理解を更に深めるために練習問題02をやってみようと思う。
さぁ~、是非試してみてください。 ひっかけ問題もあります。
興味ある方は、
練習問題02の答えを下記よりダウンロードして確認してみてくださいね。
さてさて、この練習問題で学んだこと。
学んだこと①
菓子(肉・魚・果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。)→ 第30類
菓子(肉・魚・果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものに限る。)→ 第29類
ん?あれ?👀
「・・・を除く」と「・・・に限る」の3文字しか違うのに、区分が違う!!
その理由は、2019年までの「指定商品・役務審査基準」では両方とも第30類だったけれど、2020年度版では表示変更と一部区分移行が行われ別々の区分となったことが原因みたい。その後、2023年度版では国際協定に基づく表示変更行われ現在は上記の表現となった。今後も表示変更や区分移行が行われることも多いから気を付ける事。
学んだこと②
「電子計算機」はコンピューターの事だった。そして電子計算機(コンピューター)は目に見え、手で触れる機械器具で指定商品として認識される。(第9類)
では、そのプログラム、つまり電子計算機用プログラムはどう考えるのか?
実はプログラムはモノとして触れることはできないが、ディスク等に格納されて「モノ=商品」のように取引される。よって、「電子計算機用プログラム」は第9類になる。が、しか~し、
電子計算機の貸与
電子計算機用プログラムの提供
上記は、サービスになるため指定役務になり第42類に区分される。
ちょっと表現が違うだけで、区分が全然変わってくる!!
学んだこと③
「・・・(モノ=商品)・・・の修理又は保守」は、指定役務になり第37類と考えること。
あと「・・・の機械器具の貸与」の区分(類)は要注意で、 工業用機械器具の貸与は 40類だけど娯楽系機械器具の貸与は41類、美容用は44類。指定商品の種類によって区分が変わってくる!!
などなど、ほかにも学んだことがあった。
あと、大切なこと。
「指定商品・指定役務」の区分や表記は独特の言いまし(表現)が多いということ。
だからこそ指定商品・役務審査基準という基準となるルールがないと恣意的になるということ。
商標は、会社の権利や利益に直結するからあいまいな表現や線引きはトラブルの原因になりかねない!!