「ものづくり」から学んだこと・感じたこと

CONTENTS


NO. 121~130

121.「均一」と「不均一」①  ー 均一さの重要性 ー

122.「均一」と「不均一」②  ー 均一さのデメリット ー

123.「平均化」の役割  ー ソフトで一発除去 ー

124. どんなに小さなことでも1番であれば、生きていける。

125.  高校生にアプリ開発について聞いてみた。

126.  「ものづくり」と「デザイン」①  ーデザインとは何か?ー

127.  「ものづくり」と「デザイン」②  ーデザインの歴史ー

128.  「ものづくり」と「デザイン」③     ーデザインとアートの違いー

129.  「ものづくり」と「デザイン」④     ーテクノロジーとデザインー

130.  「ものづくり」と「デザイン」⑤  ー「再定義」と「リ・デザイン」ー



121

「均一」と「不均一」①  ー 均一さの重要性 ー

 

2022年11月2日 

不均一は偏りを生み、不良品につながる。

ものづくりを世界を見ると、想像以上に「均一さ」が求められていると感じた。

実は「均一さ」というのは、高度な技術力の一つと思う。これも学んだこと。

均一でないものはばらつきや偏りを生み、この偏りが生産工程を悩ませ、結果的に不良品に繋がる。

だからとても重要な要素の一つであり企業が有する高い技術力といっても過言ではないと思う。

 

「均一さ」はとにかく様々な生産現場で目にします。その一部は気づきにくい場面もあります。

均一な・・・長さ、幅、量、動き、振動、時間、温度、角度、光量・・・などなど

言い出したら切りがないぐらいです。

 

均一さがなぜ生産で求められるかというと、

①品質に直結すること

②安定さに繋がること

③効率が良くなること

④売上向上につながること

⑤高い技術を所有できること

⑥次の開発に繋がる事

⑦信頼性につながること

 

例えば、実際に管理人が体験したこと。

光学業界にいるので、光学レンズの「均一さ」の難しさを伝えたいと思います。

 

ここに凹レンズ、凸レンズがあるとします。

この2つを接着剤でくっ付けたものを「接合レンズ」と言います。

この2つのレンズをくっ付ける際接着剤を使用しますが、このとき「均一さ」が重要になります。

 

作業1、凹レンズの方に接着剤を「均一」に塗り、凸レンズと位置を合わせる。

作業2、その後レンズ全体に紫外線を「均一」に照射し、接着剤を硬化させる。

 

たった2つの作業ですがこの時に「不均一」が発生すると不良品の確率が高くなります。

作業1の場合、「接着剤の量を均一に塗布」できなければ中央部分と端部分でムラが発生し、その後硬化時に均一に固まらずレンズ接着位置がズレ傾いてしまう。

作業2の場合、レンズ全体に照射する「紫外線光量が均一」でなければ、場所によって硬化時間差が生まれ接着位置がズレ傾いてしまう。

特に5mm以下の小径レンズは難しく、数ミクロンのズレでも光の屈折は曲がる。←散々悩まされた。

 

 

実はレンズにおいて、接着剤はとても重要。

6~7年前、接着剤を学ぼうとメーカーに電話で問い合わせたら電話越しに激怒されました。

その方は怒りながらも親切に色々教えてくれましたが、あんなに怒られたのは初めてだった。

 

「多くの光学設計者は接着剤を勉強しないで平気で設計している!!」

「接着剤のことを知らなすぎる!(怒)」

(私・・光学設計者じゃない・・って内心言いたかったのですが・・。)

 

 

数年後、この話って事実かなぁ?と思って機会があったときに光学設計者に質問してみました。

 

管理人:「設計の時に接着剤って考慮していますか?」

設計者:「今はしているけれど、昔はしていなかったです。接着剤の重要性が分からなかったです。」

    「ある時大きな問題が出て今は必ず意識しています。」

 

あ・・・、やっぱりそうだったのね・・・。

接着剤メーカーが激怒するのも無理ないか・・・。

接着剤も実は沢山の種類がある。特に自動車に使われているレンズ用接着剤は絶対に剝がれてはいけないので「150度の高温に耐えられるもの」になっている。だからこそこの硬化作業は非常に重要なのです。

 

このように単純な生産工程にも気が付きにくい「均一さ」が隠れている。

問題が表面化しない限り本当にわからない。だからこそ高い技術の一つだと思う。

また光学業界に限らず「均一さ」を前面に打ち出している企業はよく研究され技術力の高い会社と管理人は思っています。

 

こうした経験から「ものづくり」には、絶対「均一さ」が重要!!!

 

・・・と思っていたのですが・・・、

最近ある方から「不均一さ」だからメリットもあることを教えて頂いた。

その技術は、自動車に使われていた・・・。

 

 

ということで、続きは次回へ。。



122

「均一」と「不均一」②  ー 均一さのデメリット ー

 

2022年11月6日 

「均一さ」は、特定の周波数を発生させる。

前回のお話で、「均一さ」の重要性を書きました。

 「均一さ」とは、綺麗に揃っていること。そして綺麗に揃っているから品質と安定性が生まれ、その結果信頼が得られる。少し前まで「ものづくりには均一さが求められている」と思っていたのですが、ある方のお話で覆されました。

「均一さ」が逆にデメリットになることを教えて頂きました。これもメモメモ( ..)φ

 

「均一さ」は揃っているからこそ「特定の周波数」を発生させることがある。

これがデメリットになるという。

 

例えば車のタイヤ。

タイヤは走行中、路面との摩擦によるノイズが発生します。この時タイヤの溝を「一定間隔に均一」に掘ってしまうと走行中に波長が生まれノイズが大きくなり共鳴してしまいます。そうなるとウァンウァンウァンllと運転中に共鳴の音がが生まれ、運転が阻害される。人によってはとても気分が悪くなるそうです。

 

この共鳴対策として、車のタイヤの溝は「不均一」になっているようです。

「不均一」な溝を掘ることで周波数を散らし共鳴を消している。そうすることでノイズを極力減らし快適で安全な運転を可能にしている。

 

知らなかったなぁ!!

タイヤの溝にもそんな秘密があったのですね。

共鳴は状況によっては不快なものになる。そして共鳴は「均一で揃っている」からこそ発生する。

だから逆転発想で、共鳴を消すには「不均一」にし周波数を分散させる。

そうすることで、打ち消しあって全体の共鳴が起こりにくい。

 

う~ん。(*^_^*)

ものづくりって、奥が深いなあ!!と思います。

 



123

「平均化」の役割  ー ソフトで一発除去 ー

 

2022年11月10日 

平均化は、ゴミやノイズを除去する

前回、「均一さ」について書きましたが、似ているようで似ていない言葉「平均化」があります。

特にこの平均化はソフト開発において、重要な役割を担っていることに気が付きました。

 

例えば、分かりやすい例で言うとフォトショップなどの画像処理によく使われます。

人の顔写真に、肌にゴミが写ってしまった。

 

「肌のゴミを消した~い!!」

 

女性なら誰でも思うかもしれない。

その画像処理に、実は「平均化」が役立っている。

 

ということで、フォトショップで一発除去!!

 

ゴミを除去すると見栄えが変わり、顔全体の印象が変わるのが分かると思います。

なぜ写真のゴミを一発で除去できるかというと、色を数値管理しているからです。色の数値化により計算され修正ができるのです。

 

これは分かりやすい例ですが、ものづくりでは単位が小さくミクロの世界になると、機械には「ノイズ」というものが発生します。ノイズは機械の振動であったり、微細なごみや傷であったり、偶発的な環境の乱れだったりその要因は様々です。またミクロな世界ほどノイズの影響は大きく正しい数値が導き出せなくなる為「ノイズ除去」を行わなければならないのです。このノイズ除去の手法の一つに「平均化」が役立っているのです。

 

ノイズは、結構やっかいな問題なんですよぉ!

どんなに精度の良い機械でも必ずと言っていいほど問題になってきます。

データ解析時はほんの微細なほこりや傷までも認識しちゃうから、これが誤差の要因になります。

そしてこの誤差が演算に悪影響を与えるのです。

 

エンジニアが一生懸命エラー解析をしているのを見て、このことを学びました!!

 



124

どんなに小さなことでも1番であれば、生きていける。

 

2022年11月11日 

独立し50年以上経営されている方のおことば

 

 「どんなに小さなことでも1番であれば、生きていける。」

 「1番が重要だよ、2番ではもうダメなんだよ。」

 「良い時代もあったよ。だけど、みんな他に持ってかれた。」

 

 

大先輩のことば。

20代で独立し、50年以上経営されている。

時代とともに会社の栄枯盛衰も見てきて、

今は会社規模としては決して大きいとは言えない。

 

このような方にも大胆に質問してみる。

 「どうして、(高齢でも)仕事を続けているのですか?」

 「細々としても仕事があるから・・・」

 

失礼ながらも、さらに質問を続ける。

 

 「50年間というなかで止めた事業もあるなか今も仕事が続けられている。

  何か他に真似できない技術があるのですか?」

 

 「半導体で使われている・・・」

 

・・・以降の話も聞きましたが、

これ以上はご迷惑をおかけするので詳しい内容は差し控えたい。

 

だけど「半導体」の言葉でピンと来た。

半導体は最先端な技術が必要な分野、ここで採用されるという事はある意味技術力が高いことを意味する。

そして詳しく聞くと内容はニッチだったけれど、お取引先は大手だった。

 

 「しつこさは重要だよ。1つのことをしつこく続けていれば、運に恵まれるからね。」

 

その方は何年も私の活動を見てくれていて「しつこく頑張っているね!!」と褒めてくれた。

 

 「そう思いますか?」

 「そう思うよ!!」

 

大先輩に褒められたのは、嬉しかったぁ!!

 

小さくても1番を目指す。しつこく続ける。そうすれば、必ず運が飛んでくる。

 

 



125

高校生にアプリ開発について聞いてみた。

 

2022年11月13日 

アプリ開発は、順番にならんだ「辞書」みたいなもの

 

ひょんなことから、高校生の方と話す機会があった。

その方は、学校の授業でゲームやアプリ開発のプログラミングを行っている。

高校生が開発したアプリゲームを触ってみた。

 

じ、時代が違う・・・・。正直な感想だった。

え~!!授業で、こんなプログラミングをしているの??( ゚Д゚)

強烈な世代間ギャップも感じながらも、高校生に質問をしてみた。

 

管理人「アプリ開発は何が難しいの?」

高校生「バグですね。バグ取りが大変です。」

 

管理人「バグは、どうやって見つけるの?」

高校生「やりながらです。操作しながらとにかく見つけます」

   「講師の先生は、プログラミングを見れば一目で演算のところがオカシイとわかるようですが

    僕たちはわかりません。しかも、演算ならまだしもコード自体がおかしかったら全然わかりません。」

   「またコードは膨大な量になります。」

 

最後に、高校生の彼はこのように答えてくれた。

 

   「アプリ開発は順番にならんだ辞書みたいなものです。」

 

この意味は、「あ」から順番にプログラミングを書いていかなくてはいけなくて、その量は膨大ということ。

順番がおかしければ、バグになり操作が正常に動かないということ。

順番にならんでいなければ、バグを見つけるのも大変ということ。

 

分かりやすい表現だなぁ!!

 

これも、高校生から学んだこと。メモメモφ(..)

 

世代ギャップを感じながら唯一話題が一緒だったのは、

「ストリートファイター」のゲームの話題だった。楽しそうに笑ってくれた!!

「波動拳、昇竜拳」が通じた!!

    



126

「ものづくり」と「デザイン」①  ーデザインとは何か?ー

 

2022年11月17日 

デザインとは何かを考えてみる

管理人は、ものづくりにおいてデザインは重要な役割を担っていると日々強く感じています。

 

しかし「デザインとは何か?」をまだ理解出来ず、仕事をしながらデザインの存在意義や役割を模索しています。

そんな中、CG制作者山科久夫様からグラフィックデザイナー原研哉様の存在を教えて頂きました。

原研哉様は、経営危機に陥っていた「無印良品」をデザインの力で立て直した方で有名な方です。

まずは勉強してみようと思い、著書「デザインのデザイン」を読むことにしました。

 

冒頭、「デザインを言葉にすることは、もうひとつのデザインである。」と始まっていました。

 

本当にその通りだなぁと感じました。

こうやってHPに書くのも一つの「デザイン」と思いました。

他にも製品の「プロダクトデザイン」、カタログ、ロゴも「デザイン」であり、空間を表現する「空間デザイン」などデザインは様々存在する。日常を見渡すとあちこちにデザインを発見することができる。そして知らず知らずのうちに多くの人が「デザイン」を表現していることに気が付きました。

 

またこの本では

デザインとはものづくりやコミュニケーションを通して自分たちの生きる世界をいきいきと認識することであり、優れた認識や発見は生きて生活を営む人間として喜びや誇りをもたらしてくれる」と書かれていました。

 

この本では学んだことが非常に多かった。

デザイン誕生が産業革命による大量生産大量消費の機械化が原因で、美意識低下による感受性の反発とは驚きでした。そして「ものづくり」と「デザイン」はとても関係性が深くその幅も広いこともわかった。その国の企業、経済、歴史、文化、生活と密接に関わっている。だから「デザイン」はもっと広義で捉える必要があり、その価値や役割は想像以上に大きく重いものと強く感じた。また「アート」と「デザイン」の違いについても書かれていた。だからこそ「デザイン」をちゃんと意識し、市場開拓する上でデザインを活用したマーケティング戦略の重要性を感じました。

 

そして本を読んだ結論は

 

デザインには、何か大きな力がある!!

その力の中には、企業を立て直す力も存在する!!

 

だからデザインについて少しずつ学んでいこうと思います。

続きは次回へ。

 


※参考文献

「デザインのデザイン」

 著者:原 研哉 

 出版社:岩波書店:

 

プロダクトデザインについて学ぶ方にはおススメ。

デザインの歴史や思想からの基礎が学べ、ものづくりとデザイン、マーケテイングが学べます。



127

「ものづくり」と「デザイン」②  ーデザインの歴史ー

 

2022年11月21日 

デザインは国によって歴史や視点が違うので戦略が変わって来る。

 

前回の続き。

「ものづくり」を学ぶとデザインは絶対に無視はできないと思う。

ということで、「デザインのデザイン」著者:原研哉様の本で学んだこと。( ..)φメモメモ

 

①イギリスの産業革命がデザイン思想の発端   ー機械化による美意識低下の反発ー

まず驚いたことはイギリスの産業革命の機械化が「デザイン」という思想の発端になったことです。大量生産、大量消費を背景に機械化によって出来上がった製品に美意識の低下と伝統工芸品の危機感を感じ、こんな製品に「がまんできぬ!!」と思って反発した人たちの活動が始まりだったこと。

 

②日本のプロダクトデザインの始まり ー戦後の復興と合理的な生産による戦略ー

日本独自のプロダクトデザインは、西洋文化と戦いながら戦後なんとか復興しようとする経済背景のなか発展していき、その影響が現在まで至っているとは思いもよりませんでした。日本の産業デザインは、デザイナーを企業の内側に置き、エンジニアリングとデザインを連携させながら、規格、生産、販売を企業が管理し、ハイ・スタンダードな製品の品質を世界に示した。こうして信頼と成功を収めることで見事復興し、日本企業のプロダクトデザインの基盤となった。そしてその影響は今の日本企業へ影響を及ぼしている。

 

③アメリカの「新奇性」デザイン戦略 ー今日あるものを明日古く見せるー

アメリカでは、デザインは経済の発展を支えるマーケテイングの一環として戦略的に捉えていること。そして「新奇性」のデザインが「今日あるものを明日古く見せる」という戦略で次々と製品の外観を変転させていった。デザインのスタイルチェンジが消費者の欲望を掻き立てるものとして理解していた。

なるほど~~。スタイルチェンジは確かに重要だ~~!!

 

④ヨーロッパでは「ブランド」としてデザインを発展  ー職人の技術と独創性なデザインー

ヨーロッパでは、市場における価値の保存方法として「ブランド」という概念が生まれた。伝統的職人の技術とデザインの独創性を合わせた高度な品質を実現させた結果「ブランド」として市場で優位性を獲得。「ブランド」は次第に製品の品質や素性を保証する「商標」として成長し、力を持つようになった。

 

 

う~ん。。すごく簡単に書いてしまった・・・。

だけどこうして勉強してみると、

「デザイン」思想は各国で違い、その背景に文化、歴史、経済、生活と密接な関係があることがわかった。

そしてデザインを各国違う視点から捉え戦略的に意識し、市場で競争している。

正直こんなに広義に解釈できるとは思っていなかった。そのことが分かっただけでもこの勉強は十分価値があった。

 

不思議なことにこの記事を書いている頃、ちょうどある方のお話で同じことを言っていました。

その方は今の日本の自動車業界のデザインについて、日本企業は合理的かつ大量生産でシステム的に管理することが最優先と仰っていました。その為デザイナーを企業内部に置くのでデザイナーが車のデザインするには限界があるという。つまり生産ラインの枠を超えるデザインは難しい。だからダイナミックでカッコいいと思うデザイン性に優れた車を作れないという。

 

自動車に限らず海外ではデザインは外部のデザイン会社に依頼することも多い。その分、デザインの自由度が高い。

国によってデザインに対する意識が全く違うので、必然と日本と海外製品では違いが生まれるのですね。

 

こりゃあ~、奥が深いぞぉ!!

 

まだまだ続く。

 ※近いうちに「ものづくりとデザイン」で別の新ページを作ろうと思いま~す。✋

 



128

「ものづくり」と「デザイン」③   ーデザインとアートの違いー

 

2022年11月25日 

デザインとアートの違いってなんだろう?

前回の続きで、「デザインのデザイン」を読み、はじめてデザインとアートの違いについて考えた。

今までちゃんと考えたことがなかった。

 

本の中では、デザインとアートの違いは、

デザインは個人の自己表出が動機ではなく社会の多くの人々と共有できる問題を発見し解決していくプロセスにデザインの本質がある。対してアートは個人が社会に向き合う個人的な意思表明であってその発生起源は個的なものと書かれていた。

 

だけど、人によっては解釈が微妙に違うように思えた。

たとえば、他の人は

 

「説明が求められるのがデザイン、自由な解釈ができるのがアート」

「クライアントの目的達成のために制作したものがデザイン、作者が作者自身の表現のために制作したものがアート」

「問題を解決する為に使われるのがデザイン、表現と創造するものがアート」

「お客さんや不特定多数の人に対しての答えがデザイン、自分の思いを表現したものアート」

 

これらを簡単にまとめると、

デザインは社会の為に制作されたもので、アートは個人的な想いを表現したものと解釈できる。つまり、「社会と個人」の違いなのですね。ただし、明確な定義は確定されていない。

それがデザインやアートの世界なのかもしれないですね。

 

そうなると、「デザイン」の方が表現の範囲は限界があるのかもしれない。社会の問題解決の為なのであればバンクシーのような風刺画は描けないし、日本のように製品の生産管理が目的なら奇抜なものは出来ない。コストがかかるから。そう思うと日本企業は「デザイン=コスト」と考えているのかな??と感じる部分も多い。

少なくとも「ものづくり」においてデザインは優先順位が低い傾向にあるのは間違いない。(←経験済み)

もしかしたら男性社会というのも関係している気がします。聞こえてくる会話は製品の機能性や精度を重要視し、いかに製品を印象的にデザイン性ある表現にするかは全体的にあまり意識されていないように思えます。

例えば製品写真を綺麗に撮影するとか・・・。

プレゼン資料をどう分かりやすく作るとか・・・。

頑張って動画でPRするとか・・・。

このあたりって営業目線から言えば、すごく重要なところなんですよぉ。

上手な製品PRって技術に対する信頼、安心感を与えさらに高級感が生まれる。

それがブランドに繋がっていくんですよぉ。

きっとこれが「デザイン」の本質の一つと思う。

 

ということで、今日はここまでにしよ~。

とりあえず、デザインとアートの違いは何となくですが理解出来ました!!

 

まだまだつづく。

 

 



129

「ものづくり」と「デザイン」④  ーテクノロジーとデザインー

 

2022年11月29日 

コンピュータは「道具」ではなく「素材」である。

前回は、「デザインとアートの違い」を学び、

デザインは社会の為に制作されたもので、アートは個人的な想いを表現したものと理解しました。

 

今日は「デザインのデザイン」の本の中で、

コンピューターテクノロジーについて次のように書かれており、これも大事なことと思いました。メモメモ( ..)φ

 

コンピューターは「道具」ではなく「素材」である

マサチューセッツ工科大学の前田ジョンさんが表現したもので、与えられたソフトウエアを鵜呑みにしてコンピューターを使うのではなく、数字によって構築された新たな素材によってどのような知の世界が開拓できるかを深く精密に考える必要があると書かれていました。

 

テクノロジーを「数字によって構築された新たな素材」と考えるのは新たなデザイン世界の可能性を感じた。

素材というのは、人間が物質的に手で触れられるものだけではない。また現実の世界にあるものだけではない。

コンピューターの中には別空間があり、これらは全て素材なんだと分かった。新しい視点を戴いた!!

またこのことは同時に「数字」は計算だけの世界ではないことを意味していると思う。

よくよく考えると、「数字」は色や形、音も操れる。何でも創造できる。

人の五感を研ぎ澄ませるには十分な刺激的素材と思った。

また印刷では難しい色の鮮やかなビビットカラーだって表現できる。(※CMYKとRBGの違い)

さらに数字は「時間」すらもコントロールできる。だからアニメや映画は人の心の奥まで響く。

 

つまり、テクノロジーは現実の世界よりもず~っと表現力が豊かでその幅や限界は想像以上に広い。

そう思うと、コンピューターの空間はとても大きな創造性の泉が湧き出ているように感じた。

ただし、現実の世界しか味わえない感性というものも存在することを忘れてはいけない。

制限があるからこそ生まれる感性もある。

 

なるほどね!!この気づきはとても大きい!!

テクノロジーは科学技術の発展だけでなくデザインやアートの世界でも「素材」として新価値が創出できるんだ。

今まではテクノロジーを物質的な技術の発展という側面で見ていた。

つまり「ものづくり」を技術的な視点のみ考えていると、視野が狭くなってしまう。

そして感性も鈍くなってしまう。自分の限界も狭めてしまう。

 

「デザイン」はきっと、もっともっと広く、奥が深いと思う。

そして大きく俯瞰した目で、「ものづくり」と「デザイン」を見なくてはいけない。

隠れたところにあらゆる可能性が秘められている。自分の意識を変えないと気が付かないし、気が付けない。

 

まだモヤモヤとした状態だけれど、今日は何かを新しいものを発見した気分だぁ!!

 

まだつづく・・。



130

「ものづくり」と「デザイン」⑤  ー「再定義」と「リ・デザイン」ー

 

2022年12月02日 

時代や環境変化で「再定義」や「リ・デザイン」は必要になる

このモノマナにも何度か書いていますが、ものづくりを勉強すると「再定義」の重要性に気が付きます。

そして製品は何度も「再定義」が行われ進化している。その代表例が携帯電話からスマートフォンへの進化だ。

 

ショルダーフォン→ポケベル→PHS→携帯電話→スマートフォン

 

固定電話から移動式電話が生まれ、通話機能のみだった携帯電話は何度も「再定義」が起こり、今ではあらゆる情報を送受信できるスマートフォンへ進化した。「再定義の繰り返し」だった。そして「デザインとは何か?」を勉強しているとデザインの進化はものづくりの進化と似ていることに気が付いた。原研哉様の「デザインのデザイン」では、もう一つ重要なことが書かれていました。

 

日常を未知化する。

 

どういうことかというと、デザインのやり直しの「リ・デザイン」である。

ごく身近なもののデザインを一から考え直してみることで、誰にでもよく分かる姿でデザインのリアリティを探る。

ゼロから新しいものを生み出すことも創造だが、既知のものを未知化することもまた創造である。

 

原研哉様は、徹底的な「リ・デザイン」を行い、松屋銀座のリニューアルや無印良品の再建に貢献された。

松屋銀座の場合、当時銀座周辺にはルイヴィトンがオープンするなどファッションブランドの中心街として変貌していた時代だった。それまでの松屋銀座は良質な生活を提供する「生活デザイン」イメージの百貨店だった。リニューアルを機に「ファッション」へとイメージをシフトする必要があった。この時、原研哉様は、鮮度のある情報の広告だけでは効果が薄いと感じ、触覚を刺激する「空間の肌触り」を感じる百貨店へと「リ・デザイン」することを決めた。重要なポイントは、個性の強い世界のファッションブランドを松屋銀座がいかに自然に包括出来るかという点だった。ブランドを百貨店に無理やり押し込んだ印象は避けたい。エレガントな包括力を生むようにしたかったという。そこで「白」と「テクスチャ―」を採用した。白という色彩は「背景性」「包括力」「現代性」「品位」「高級感」「刷新性」などを想起させる力がある。そしてテクスチャーと組み合わせることで、新しい松屋銀座のイメージを作ることに成功した。

 

また無印良品の場合も時代とともにイメージを変化する必要があった。

無印良品は西友のプライベートブランドとして発足し、生産プロセスを徹底して簡素化することで、非常にシンプルで低価格の商品だった。最初の頃は価格面で優位性があったが、海外の安い労働コストの中でその優位性が維持できなくなり「リ・デザイン」をする必要性があった。無印良品は、新奇な素材、独自性や希少性を競うブランドとしてではなく、また安価な素材を使って生産プロセスをギリギリまで簡略したものではない。最適な素材と製法、形を模索しながら、「素」あるいは「簡素さ」の中に新しい価値観や美意識を生み出し、最低価格ではなく最も賢い低価格帯を実現していくことだった。こうやって無印良品を「リ・デザイン」し、再建することに成功した。

 

ここから分かったことは、時代や社会環境が変化していく中で、必ず「再定義」や「リ・デザイン」は必要になるということ。そうしないと、その時代や環境に適さなくなり取り残され企業は倒産します。だから「再定義」や「リ・デザイン」は常に一定間隔で起こっていると思った。そして、これらは別の言い方をすれば「イノベーション」とも呼ばれている気がした。

 

ようやく少し分かりかけてきた気がする。

イノベーションとはゼロから創造するものもあるが、そのほとんどは既に存在しているものを「再定義」「リ・デザイン」されて創造されたものであるということ。その中には、その時代や環境に適した思想、生活、哲学が隠されていること。そして、製品を含め日常には、常にあらゆる可能性が秘められていること。

 

ものづくりとデザインでこんな重要な共通点が隠されているなんて驚いたな~~!!

本当に勉強して良かったです。

 

原研哉様の存在をご紹介して下さったCG制作者山科久夫さんに感謝です。

山科さんは原研哉様のことを尊敬されております。下記のようなメールを頂きました。

何かの参考になればと思います。

 

私(山科さん)の尊敬する原研哉さんというデザイナーの言葉にこういうのがあります。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

インパクトを持った、人の瞼をこじ開けて入ってくるような強引なデザイン

というのももちろんあるけれど、僕がやろうとしているのは、

知らないうちに染み込んできて、いつの間にか何かを解らせてしまうような、

静かだけれど強力なコミュニケーション ── 。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 



ものづくりで学んだこと