CONTENTS
技術者は追求している分野の科学的・論理的なエビデンスが欲しい。
開発には新しい方法を構築しなければならない。その為に原理が正しいかどうか追求することがあります。
「方法を変えたら何が変わるのか、新方法は正しいのか・・・?」「効果があるのか・・・?」
ここに技術者の知識や経験が注ぎ込まれるのですが、前代未聞なことをすればするほど「この方式は間違っていないか?」という心が技術者には生まれてくると思います。
だからこそ技術者は、科学的・論理的エビデンスが欲しいのです。
「自分の方式、考えが間違っていなかった」と・・・。
世間に認めてもらいたいという心もあるのかもしれないですが、会社からのプレッシャーに耐え、心の不安を払拭したいという気持ちもあると思います。模索しながら開発しているのです。
企業の技術者は、大学の先生に論文を書いてもらえたら・・と思う人は多いと思います。
だけどそんな費用もない・・・。
そんな心を持っている人が結構いるということだけも伝えられたらと思いました。
この部分は、産学連携の重要な役割の部分な気がするなぁ・・と個人的に思っています。
技術者は、仮説を立てながら開発をしている。
技術者の欲しいもの:科学的エビデンス(論文)
「高精度を保証する」には、計測機で測るしかない!
「自動車」という製品で説明すると、
自動車は安全でなければいけないので、大きな「高精度製品」になります。
燃費、速度、安全性・・・などなどあらゆる検査項目があります。検査とは、数値化して管理するということ。評価基準が厳しければ厳しいほど、また数値単位が細かいほど高精度測定機で測定されています。
また外注に依頼する部品にも、設計図の基準を満たす精度保証を求めているのです。つまり外注先は部品と共に高精度測定機で測定した検査成績書を添付し納品しています。
このように、ものづくりの製造工程では必ず多くの測定機が導入されており、厳しく数値で管理されています。数値管理しているからこそ製品保証ができるのです。製品保証の裏には「高精度測定機」という存在があるのも知ってほしいです。
そしてこれらの「高精度測定機」の部品ひとつひとつも超高精度の部品群で成り立っているのです。
「高精度の安定性・再現性」は、全ての部品が高精度部品で出来ている
PART1と少し似ていますが、高精度製品に部品ひとつひとつはすべて厳しい基準を満たした「高精度部品群」で構成されています。
自動車を例えにすると、ネジやボルト1個も高精度でなければいけない。タイヤのネジ一つの欠損が事故につながりますので、1つ1つの寸法公差、強度、材質等も重要なのです。この辺は正直詳しくないのですが、部品が設計図通りに出来ているか重要です。
不思議とこの部品一つに問題があると、全体の安定性は数値としてエラーになります。仮に1回目の検査で問題なくても、繰り返しの再現性テストでエラーになることがあります。
ここに日本製品が長持ちする秘密があるのです。
同品質の維持し続けるには、長年の経験が必要。
素材や部品というのは、環境や温度、熱等で寸法が変わることが多いです。加工環境というのは微妙に毎日違うのです。つまり毎日同条件で加工すると部品にばらつきがあることを意味します。また加工治具も消耗品であるから毎日手入れしなければ、同精度は出ないし、事故を起こす可能性もあります。
だから品質を維持するということはとても難しいことなのです。
職人さんの凄いところは、環境が違っても同じ精度を保てるというところ。その日、その環境にあった条件選択に優れ、材料にあった治具で加工を行っています。加工治具を間違えると治具や材料が飛んで事故につながります。品質だけでなく人員の安全性も保っているのです。
これらは長年の努力と経験によるものです。
こういう事実も初めて知りました。
実は職人安全を守るため「高精度加工機」は必要なのです。
矛盾している?と思われるかもしれないですが、
高精度部品を加工するのに、職人の技だけでなく高精度加工機も必要不可欠です。
なぜか?
人員不足、安定的な生産と品質、そして、安全確保が主な理由と思われます。
超高精度部品になってくると職人技も必要になってきますが、職人よりバラツキもあり、会社としては安定的な品質が保てない部分もあります。そして、加工中は一つ間違えると事故やケガが起こりやすい環境です。
部品が吹っ飛んだり、治具が折れたり、回転に巻き込まれたり加工作業は危険なのです。
人が直接、治具や刃物に触れる機会を減らし、効率的に作業を進めるにはやはり高精度加工機も重要です。
高精度加工機にも高精度部品が使われています。耐久性、安全性が求められていますので・・。
ものづくりって、奥が深いなぁ・・・。
研究開発が実を結ぶまで多くの困難があり、3つの壁を超えるのに15年掛かる。
ノーベル化学賞の吉野彰先生から学んだ言葉です。
開発に携わったからこそ、この言葉の意味がよく理解出来ました。
是非知ってほしい言葉です。
第1段階:「悪魔の川」とは?
「基礎研究」段階の壁。基礎研究が成功する確率は低く、大半は芽が出ずに振り落とされるという。
第2段階:「死の谷」とは?
「基礎研究の製品化」段階の壁。基礎技術が確立しても製品に仕上げるまでには多くの課題、困難が待ち受ける。
第3段階:「ダーウィンの海」とは?
「製品の市場開拓」段階の壁。いざ製品化に成功しても、認知度は低く市場を開拓するまでには長い年月と困難が待ち受けている。競合との戦いもあったり、資金力の問題もある。
それぞれの段階で約5年ずつ掛かり、基礎研究から市場開拓まで約15年掛かる計算。研究内容にもよるが標準的な年数である。近年は短期的利益を追求するあまり2年で基礎研究の結果が出なければ、研究の継続が困難で中断せざるを得ないことも多い。
開発が続くかは最終的には開発者の情熱!?かも。
開発を続けるためには、様々な困難が押し寄せます。
・技術的な問題
・資金的な問題
・人員的な問題
・時間的な問題
どの困難も大きな壁を作ります。そして壁が大きければ大きいほど時間と資金が掛かり、数年にも及びます。
その壁を突破できるかどうかは、開発者の情熱次第な気がします。
開発者は、何とか突破する為のあらゆる手段を見つけようと努力を続け、さらに技術とは別のやったことないこと(プレゼンの勉強、会計の勉強など)に挑戦し、継続方法を見つける。
その見つけられた人が最終的に完成させられるのかな?と思いました。
情熱は、忍耐力の強さという言葉に変換できるかもしれません。
私も、頑張って続けよう!
社長が技術出身者の場合は特に・・・。
「ものづくり」の世界では、技術者出身の社長が比較的多くいます。
そういう場合は社長自ら開発に関わるので、営業する時間が無くなります。
中小企業は、社長=営業のパターンも多いです。
技術者出身の経営者は、自ら開発に関わってきます。正直、現場で開発したくてウズウズしています。(笑)
そして開発は簡単ではないですし、精度保証、改良、トラブル等常に技術的緊張が伴います。
だから営業する時間もなくなり、開発と営業が同時にできなくなるのです。
高技術であるほど専門過ぎて、素人では表現が難しい
この記事は是非クリエーターの方に読んでもらいたいです。
他社のカタログを作るときの感じる事。
「素晴らしい技術なのに、表現ができない!!」
「なるほど、この技術はこんな風に使われているのね!!」
私自身、他社のカタログ等携わった人間です。デザイン出身でないから表現力に限界を感じています。
高い技術であればあるほど、その説明力、表現力が求められます。写真すらもない。
完成度の高い表現力は、技術力のイメージを正確に力強く伝えることが出来るのです。視覚的に情報を簡単に伝えられる力があるのです。
また、表現力が繊細であればあるほど、高精度、高級、ブランドイメージの向上にも繋がります。
「ものづくり」の世界には、もっと多くのクリエーターが関わってほしいと思っています。
そうすれば、何を研究し追及しているのかが見えてその素晴らしい技術が伝わり易くなります。
商標登録は自分で出来るので、ブランド力向上、模造製品抑止力になる。
実際に自分で手続きを行い感じたことです。商標出願、登録は自分で出来ます。
切っ掛けは、特許と共に製品の認知、価値、ブランド力、競合や模倣対策を考慮したことです。
「東京都知的財産総合センター」の無料相談を利用し、直接弁理士に相談しました。
無料相談を利用すると、弁理士に直接アドバイス受けながら自分で商標登録できます。
内容は、出願方法、書き方、出願したい商標の可能性、区分、指定商品(指定役務)の範囲などなど。
区分とは、
商品のカテゴリーやサービスの範囲。商標は指定した区分範囲内に効力があり、区分範囲外では商標登録されても効力が弱いと思ってください。全部で45類あります。
指定商品(指定役務)とは、
商標が使用される分野を特定するもので、区分よりもう少し詳細分類した具体的な商品、範囲と思ってください。
具体例
区分 1類 → 化学品(工業・科学・農業用等)
指定商品・指定役務(1類) → 工業用化学品、科学用化学剤、写真用化学剤、並びに農薬・園芸用農薬・林業用農薬 など
「東京都知的財産総合センター」を利用するメリット。
①弁理士に相談しているので、審査通過の可能性が高くなる。
②自分で出願しているので、出願費用は弁理士費用が掛からない。
③商標登録の知識
出願だけを考えれば、出願費用12.000円のみ。(1区分)
※審査通過の場合は、登録料は別。(10年の場合、28.200円。)
弁理士に依頼すれば、プラス数万~10万掛かると思います。
12.000円で商標出願が出来て、製品の価値やブランド力が上がれば費用として安いと思います。
さすがに特許は弁理士のお力が必要なので最低30万ぐらいはかかりますが、商標登録は特許に比べるとハードルはかなり低いのです。
頑張って皆さんも挑戦してみましょう。
ちなみに助成金を利用すれば、海外商標登録も費用は安くできます。
※ただし、助成金なので申請書類を沢山書かなければいけない・・・。これも大変。
だけど、こういう情報ももっと知って貰いたいなぁ。
「特許」は弁理士の力が必要。自力出願は難しい。
特許は、正直自力出願は難しいです。弁理士にお願いしましょう。出願費用は内容によりますが、30万ぐらいかな?
「商標」は相談しながら、自分で出願できる
商標でも無料相談を活用すれば自分で出願できます。そうすれば、出願費用が12.000円のみ(1区分)。模造製品の抑止力になると思います。
ものづくりで学んだこと