CONTENTS
自動化、情報化の時代、事故を防ぐには高精度化が必要
「ものづくり」に関わっていないと、日常生活ではミクロンの世界を感じることは少ない気がします。
私もその一人でした。
なぜ日本のものづくりは、「ミクロン以下の世界」で戦っているのか?
自動化、情報化社会の発展によりすべてにおいて高精度化が求められるから。
今後の未来はソフトと共にハードの部分も非常に重要になってきます。
ハードは日本人が得意とする分野です。
開発に携わって気が付いたことですが、温度や環境の変化で部品、素材一つ一つの長さ、大きさが変化する。
温度で小さな部品1個でも誤差は出るし、製品全体として考えればものすごい大きな誤差になります。
情報量が多くなればなるほど、熱膨張や電圧は大きくなるし部品の耐久性等が求められます。
将来は自動運転があちこちで見られるようになる。事故が起きないようにするには、
こうした部品1個1個の高精度化が重要になるので技術者達はミクロン以下の世界で戦っているのです。
そうしたことに気が付いたので、私は「ものづくり」を応援しよう!!と思いました。
技術的には何もわからない素人なんですが・・・。
穴あけ加工でも、単位はミクロン
技術力の高い企業は、誤差をミクロン単位でコントロールしています。また治具や素材も温度変化等で変化するので、品質を維持するのは簡単ではない。
実は、アイディアは簡単には生まれない。だから価値がある。
私が「ものづくり」に関わっている人、技術者、職人さんをみて伝えたかったことの一つです。
なぜアイディアは「尊い価値」があるのでしょうか?
アイディアは、その人の長年の「努力・技術・経験」の苦労が積み重なって初めて生まれるもの。
実は、簡単には生まれない。
技術一つ一つにこうしたアイディア・努力の結晶が沢山詰まって技術は進化し続けている。
だから尊いものと考えています。
これは「ものづくり」をみて一番感じたことです。
加工、研磨技術一つとっても同じ。職人さんの努力、技術、経験が目に見えない形で隠されている。
そこに気が付いて欲しいな!!
長年疑問に思っていたことの一つでした。
高精度な部品ほど最後の仕上げは職人が行うことが多いです。
全ての加工が、高精度加工機では出来ないのか・・・?それはなぜ?
簡単に言うと、「毎日の加工環境や加工条件が一定でない」からです。
「素材、材質は温度によって変化するもの」
素人の私には衝撃的でした。
ミクロンという世界だけれど、素材の長さ、硬さ等が温度や気候で変わるということ。
変化するのは加工材料だけでない。加工機そのものが温度変化する場合がある。
また加工には、加工材料・条件に合った治具で加工しなければいけない。
高精度加工機は、ある程度の精度までは加工できます。しかし毎日の加工条件の変化に柔軟に対応できないこともあるのです。またメンテナンスを怠ると加工精度に影響が出ます。そうなると一定品質が保てません。
だから、職人さんは凄いのです。
毎日の温度や気候変化、加工環境・条件を敏感に感じ取り、その日の条件に合ったベストな選択し加工をする。
だから常に一定した高精度な品質が保てるのです。
初めてこのことを知った時は驚きで、是非知って貰いたいことと思いました。
職人の凄さ① 毎日の装置・治工具メンテナンス徹底
装置や治工具のメンテナンスを怠ると安定的な品質維持は出来ません。
職人の凄さ② 環境や加工条件の選択がすごい
素材により選択する治工具は変わり、気温等の環境変化により加工条件が変わります。
「製品に命を吹き込むと自ら人を集めてくる」
私はゼロからスタートし、「ものづくり」の世界に入りました。専門ではないから「設計、加工、製造、組立等」は出来ない。だけれど、一生懸命開発された製品をPRし続けたら、不思議なことに、カタログやHP・動画が勝手に独り歩きし問い合わせが増加しました。とにかく一枚一枚の写真と説明をとても大事にしました。
そこで感じたのが、
「製品に命を吹き込むと自ら人を集めてくる」
「製品に命を吹き込むってどういうこと?」という質問が来そうですが、
技術的以外に名前を付けてあげたり、ベストな角度で写真を撮ったり、カタログで技術者の話を分かりやすく説明したり、一生懸命、その製品の良さを引き出そうとPRすることです。
こういうことって、技術的知識がない女性でも出来るんです。
製品の「良い顔」を撮ってあげるだけでも存在感が増します。また製品にはネームが無いものも多いです。製品名の有無では製品の呼びやすさも違うので、名前がある方が結果的に記憶に残りやすいことも事実です。
こうした努力により、思わぬ形から「カタログを見て来ました」「動画を見て来ました」「他の人に紹介されました」という流れを生み、仕事に繋がりました。
写真を撮るだけでも、製品のイメージを変えられる
スマホではなくて、カメラで撮ることをお勧めします。
開発は1回では終わらず、何度も改良が必要。
アイディアから試作品第1号が出来上がります。確かに何となく製品らしくなる。
しかし、これでは世間に認めてもらえないことが多い。そして、試作品第2号、第3号・・と改良が続く。
大きな開発な場合、試作第3号ぐらいまでになると、資金力も影響してくる。
周りも心配してくる・・・。大丈夫か・・・?と。
特に辛いのが、今までにないものに挑戦し特注で受注したけれど上手くいかなかった場合。
正直、利益が吹っ飛びます。そうした会社もあります。
そうすると、せっかく数年かけて積み重ねてきた技術の結晶が水の泡となり、次の開発は無くなります。
こうした見えない努力を伝えたかったから、「ものづくり」を応援しようと思っています。
開発1号機で製品化にはならず、改良が何度も続く。
「改良期間5年以上」は当たり前で、覚悟しなければいけない。
改良が何度も続くと、周りが心配してきます。その壁を乗り越えたときに、製品化へつながります。
ここが最も苦しいところの一つで、ここの壁を乗り越えられない製品も沢山あると思います。
技術者の声が外に伝わりにくい事情
独自の高い技術を保有している中小企業はとても多いです。だけど、その良さを表現できないところも多いです。そして高い技術があるのに、買収、廃業に追い込まれます。
「なぜ?」
1、技術者と営業のコミュニケーションが取れていないこと。
2、あまりにも専門過ぎて、表現が難しいこと。
3、開発や技術、設備にお金を掛けていて、宣伝に費用を掛けられないこと。
4、大手と秘密保持契約を結んでいるため、公開できないこと。
5、価格設定が難しいこと。
6、その他
おおよそ、この6パターンに当てはまる気がします。
特に1~3に当てはまる企業は結構多く、改善の余地があります。
また同じ製品技術情報でも技術者と営業者からお話を聞くとでは違った聞こえ方になることも多いです。
そうなると、製品の最大の特徴さえ変わってしまいます。
そしてここにクリエーターの皆様の表現力があればもっと伝わり易くなるのでは?といつも思っています。
開発者、技術者の声が伝わりにくい
かなり専門過ぎて、説明が難しい
正直、宣伝に費用が掛けられない
様々な理由が絡み合っている。
高い技術があるけれど、倒産する。理由は様々と思う。
後継者問題、資金力問題、営業力問題・・・。
実際に高い技術を保有していても、表現できないことも多くある。故に製品の認知はされない。
また材料や部品購入の為、先に資金が必要になる。赤字になれば銀行からは借りにくくなる。
そして売価設定も難しい要素ではないだろうか?
競合がいれば、価格競争になる。
無理した価格競争は、自分たちの首を絞めることなる。
利益が少なければ人を雇うことも難しく、若い人が入社してこなくなる。
営業が社長しかいないという状況も珍しくない。
そして悪循環が始まる。
せっかく技術があっても、全然活かされないことも多い。
こうしたことは実際にあったことです。
少しでも知って戴けたらと思います。
会社規模、資金力の小ささのメリット
資金力の有無はあるにせよ、もしかしたら中小企業の方が製品開発しやすい土壌があるのかもしれないと考えるようになりました。
その理由は
①しがらみが少ない事。自由な発想ができる。
②資金力の問題はあるが、社長の判断次第で開発期間が伸ばせること。
③小規模で少ない資金だからこそ強制的に工夫を凝らすこと。
④助成金を活用しやすい。
①は会社規模が大きくなると、会社方針に沿った開発でないと認めらないことがある。その点、中小企業は面白い開発なら認めてもらえることが多く、その範囲は広いと思う。その分だけ自由な発想が生まれやすいのでは?と思いました。
②大企業ほど開発期間は決まっており成果が出なければ打ち切られる。しかし中小では社長の判断で開発期間を延長できる。意外とこの差って大きいのでは?と思いました。しかし成果が出なければ倒産の危機も高まるのも事実です。
「ものづくり」助成金は沢山あるのですが、「改良」の助成金を強化して欲しいと思います。実際「改良」の助成金はあるのですがもっと増やして欲しいなぁ。開発→数度の改良→市場開拓という流れの中で、特に苦しいのは改良の時期な気がします。2年で開発を打ち切られるのはもったいない気がします。
③資金がないからこそ必死です。この必死さが何とか知恵を絞り出そうとします。
④中小企業向けの助成金は沢山あり、会社規模によっても助成率が違うこともあります。
やっぱり自由な発想しやすい
社長の声で開発期間延長
工夫無しで、生き残れない
助成金を活用しやすい
成型品より金型の方が精度が高い。
これも「ものづくり」を知って学んだことです。
よく考えると当たり前のことですが、
出来上がった「成型品」よりそれを支える「金型」の方が精度が高いのです。
つまり金型にはものすごい技術が隠されていることを意味します。
もちろん技術は金型だけでなく、プレス方法や圧力、温度など製造工程も重要。
私たちは完成された「目に見える成型品」ばかりを見ています。
その裏には、もっと大きな技術が隠され、支えられているということ。
金型は、重要な技術なのです。
それによって私たちの生活は支えられている。
知ることが出来て良かった。
金型の方が、成型品より精度が厳しい。
出来上がった成型品しか私たちは見ることができない。
しかしその裏では、成型品より厳しい精度が求められている金型の存在があります。ここに、見えない技術が隠されています。
信頼できる加工機や計測機を使用して品質保証している。
加工業者の中には、ホームぺージ上で保有している設備を掲載している会社が多く存在します。
知る人が見ればそれだけでどのぐらいの技術レベルなのか一目で分かります。※私にはわかりません。
有名な装置であればあるほど、それだけで技術保証、品質保証につながります。
どの機械や装置を使っているのかはどの業界でも、とても重要な要素になります。
会社によっては、有名な高額装置が購入できません。
そういう場合は無名の低価格装置を購入しているケースが多いですが、その加工精度を保証するのに色々工夫しなければいけません。
ものづくりで学んだこと